小児歯科

小児歯科の治療方針

虫歯のない健康な歯を維持し、将来、大人になったときに歯医者へ気軽に通い、自分の健康を守る力を身につけてほしい。そんな思いを込めて診療に取り組んでいます。

当院では、お子さまや親御さまとのコミュニケーションを大切にし、一人ひとりの成長段階に合わせた治療を心がけています。今ある虫歯を無理に治療するのではなく、お子さまの将来を見据えた優しく丁寧な診療を提供しています。

子供の虫歯について

虫歯の原因には「細菌(ミュータンス菌)」「糖質」「歯の質」の3つの要素があります。この3つの要素が重なった時、時間の経過とともに虫歯が発生してしまいます。

1. 細菌(ミュータンス菌)ミュータンス菌はプラークとして歯の表面に付着し、糖質を分解して酸を生成します。この酸が歯の主成分であるカルシウムやリンを溶かし、歯を脆くしてスカスカの状態にしてしまいます。
2. 糖質食べ物に含まれる糖質(特に砂糖)は、ミュータンス菌が酸を作る際のエネルギーとなります。間食が多い方や、キャンディーや甘い飲み物を頻繁に摂取する習慣がある方は、歯の表面が酸にさらされる時間が長くなり、その結果、虫歯のリスクが高まります。
3. 歯の質歯が形成される際の環境や個人差によって、エナメル質や象牙質の状態(いわゆる「歯の質」)が異なり、その影響で虫歯になりやすい方もいます。特に、乳歯や永久歯が生えたばかりの子どもは、虫歯のリスクが高いため注意が必要です。

虫歯になりやすい子供

1. 口呼吸をしている意外に感じるかもしれませんが、口呼吸は虫歯リスクを大幅に高める原因となってしまうため、注意が必要です。
   主な理由は「口腔乾燥」にあります。お口を開けた状態で呼吸を行うと口腔内が乾燥してしまい、唾液による自浄作用・殺菌作用・抗菌作用が低下してしまいます。その結果、虫歯菌にとって絶好の環境となり、虫歯になってしまうリスクが高まります。
2. 歯みがきが出来ていない大前提として、歯磨きが十分に行えていないと、歯垢や歯石が溜まってしまい虫歯菌が増殖します。乳歯が生え揃うまでには歯科医院でのチェックをはじめ、正しい歯磨きの方法、予防することの意識を身につけることが大切です。
3. 間食が多い子供が大好きなお菓子なので、お菓子を食べること自体を否定は致しませんが、おかしを食べる頻度が多すぎると、その分虫歯のリスクが高まります。特に砂糖を多く含んでいるお菓子やスイーツを好むお子様は、虫歯になりやすい傾向がございます。そのため、間食の回数だけでなく、砂糖の摂取量についても親御さまが注意深く管理することが大切です。また、キシリトールやエリスリトールといった、虫歯菌のエネルギーにならない甘味料を使用したお菓子を選ぶことで、虫歯を効果的に予防することが可能です。
4. 歯並びが悪い「歯磨きは徹底して丁寧に磨いてるし、お菓子も食べていない、なのになぜかうちの子は虫歯になりやすい」こんなことってありませんか？そんな時は、歯並びに一度焦点を移してみると良いかもしれません。歯並びが乱れていると、汚れを綺麗に取り除くことが難しく、磨き残しの原因となります。歯並びの乱れが顕著な場合は、将来を見据え、矯正治療を始めることをおすすめ致します。

子供の虫歯予防

当院は、お子様や親御さまのサポーターとしてあり続けるために、虫歯予防の術をお伝えいたします。予防のために、ご自宅や歯医者さんで下記のことを継続して行うことがとても大切です。

ご自宅で行うケア

• 毎日のフッ素の使用(フッ素洗口orフッ素ジェル)
• 飲食回数
• プラークコントロール(仕上げ磨き)

歯医者で行うケア

1. 口腔内検査歯や歯茎の状態をチェックします。
2. 歯みがき指導お口の状態に合ったセルフケア方法を指導します。
3. フッ素塗布高濃度のフッ素を歯に塗布します。
4. スケーリングスケーラーという器具を使用し、歯石の除去をします。
5. PMTC普段の歯みがきでは取り除けないプラークなどを専用機器で取り除きます。
6. シーラントプラークが残りやすい歯のかみ合わせなど溝を樹脂でふさぎ、虫歯を予防する処置をします。
7. 歯並びのチェックや矯正治療成長に応じて歯並びの状態を確認し、矯正の必要性を早期に判断します。必要に応じて矯正治療も行っています。
8. 筋機能訓練(MFT)歯並びや噛み合わせの形成には、遺伝だけでなく幼少期の生活習慣や癖なども大きな影響を及ぼしています。唇や頬、口の周りの筋肉のバランスを良くし、機能を改善する訓練を必要に応じて行います。

乳歯が虫歯になったら？

赤ちゃんは生後6か月頃に最初の乳歯が生え始め、この時点から虫歯のリスクが生じます。

特に1歳半頃になると歯の本数が増え、食事も3回食に切り替わるため、虫歯のリスクが一気に高まります。また、1歳から3歳頃は虫歯菌に感染しやすい時期で、最初の虫歯ができるのは3歳までが多いとされています。

虫歯を防ぐためには、3歳までに一度歯科を受診されることをおすすめします。早めのケアで、お子さまの歯を守りましょう。

乳歯が虫歯になった場合の治療

治療が可能なお子さまの割合は、3歳・4歳・5歳でおおよそ20％・50％・80％と言われています。

それ以上の年齢でも、過去のトラウマなどから歯科治療に不安を感じるお子さまもいらっしゃいます。治療が難しい場合や1〜2歳未満のお子さまには、まず痛みなどの苦痛を取り除いたうえで、ご自宅でのケア(フッ素の使用、飲食の管理、仕上げ磨き)や歯科医院でのケアを通じて、新たな虫歯を予防することを重視します。

さらに、進行止めのお薬(サホライド)を塗布することで、虫歯の進行を抑える対応を行います。お子さまの成長段階に応じて、診療チェアに座る練習や診療器具に触れる体験を通して、徐々に歯科治療に慣れてもらえるよう工夫しています。

治療の前には必ずトレーニングを実施し、準備が整った段階で治療を開始します。親御さまにも安心していただける環境を整え、お子さまの健康をサポートします。

乳歯の虫歯治療の流れ

1. 問診お子さまのお体の状態・お口の状態を把握させて頂き、治療方針を決めます。
2. X線写真虫歯の進行具合や目に見えない歯茎の状態や骨の状態を確認します。
3. ダイアグノデント数値化できる器械でむし歯の有無を確認します。正確な診査・診断をしてから、治療を行います。
4. 虫歯の治療進行段階にあった治療を行います。

進行度合い別の虫歯治療

CO(初期う蝕・脱灰歯)

再石灰化を目標に治療します初期う蝕歯・脱灰歯は元に戻せる可能性があります。

シーラントやフッ素塗布を行います。

C1(エナメル質う蝕)

このステージから歯を削って治療します。痛くないように麻酔して、虫歯を取ります。

CR(歯科用の白い樹脂素材)を詰める治療をします。

C2(象牙質う蝕)

象牙質はエナメル質より柔らかいため、乳歯は特に進行が早くこの頃から歯が痛み始めます。

痛くないように麻酔をして、虫歯を取った後CRで詰める治療をします。

C3(神経に達するう蝕)

我慢できないほどズキズキしてきます。痛みを感じる神経のお部屋まで虫歯が到達している状態です。神経が虫菌に感染しているため根っこの治療をします。

根っこの治療が終わったら、乳歯冠(乳歯に被せる冠)で歯が欠けないようにします。

C4(顎の骨に膿の袋ができる)

慢性期・急性期を繰り返し、突然痛くなり、歯茎に膿の袋が出来ます。噛むと激痛が出ることもあります。根っこの治療をして、歯を残せる場合もあります。

ただし、永久歯に悪影響を起こす可能性がある場合は、乳歯を抜歯することがございます。

基本的に麻酔をして小児専門の器具(ラバーダムなど)を使用して安全・確実に治療します。ラバーダムという専門的な器具を使用することにより、治療した歯が再度虫歯になることを防いでくれます。