インプラント治療が
保険適用で受けられる?
インプラント治療はほとんどの場合で保険適用外となっております。虫歯や歯周病などによる歯の喪失に対してインプラントを希望する場合は、全額自己負担での治療が必要です。
健康な歯に近い状態への回復や、入れ歯による咀嚼問題の改善を目指すインプラント治療の場合は、自由診療での対応となります。
保険診療の対象となるのは、がんなどの腫瘍に対する手術後や、先天性疾患による顎骨の大規模な欠損などは保険診療でのインプラント治療が認められるケースがあります。
保険診療の対象となる場合
以下の状況に該当する場合は、保険でのインプラント治療が可能です。
- 下顎骨の3分の1以上が欠損している状態、あるいは腫瘍性疾患による下顎切除後の状態
- 上顎骨の3分の1以上の欠損がある状態、または欠損部位が上顎洞・鼻腔に連通している状態
医療上の理由で顎骨の広範囲に欠損が生じた患者さんに対して、2012年4月からインプラント治療の保険適用が開始されました。
保険適用が制限される背景
インプラント治療は最先端の歯科医療技術を用いた高度な治療です。人工歯根と人工歯冠を使用して天然歯に近い状態を実現する治療法となります。
欠損歯の治療に対しては保険適用で入れ歯やブリッジという選択肢が存在するため、通常のインプラント治療は保険診療の対象外とされています。
費用面では自己負担が発生しますが、快適な咀嚼機能の回復が見込まれることから、多くの方がインプラントでの治療を選択するようになってきました。咀嚼機能の回復は副次的に下記のメリットが考えられます。
- 認知症リスクの低下インプラント治療によって咀嚼機能が回復すると、認知症のリスクが低下する可能性があります。しっかりと噛めることで、脳への刺激が増加し、認知機能の維持に役立つとされています。
- 脳の活性化噛む力の回復は脳の血流を改善し、脳を活性化させる効果があります。これにより、認知症の進行を遅らせる可能性が示唆されています。
- 栄養状態の改善インプラントによって咀嚼機能が向上すると、より多様な食品を摂取できるようになり、栄養状態の改善につながります。これは全身の健康維持に重要な役割を果たします。
- 生活の質の向上インプラント治療は、咀嚼機能の回復だけでなく、外見や発音の改善にもつながります。これにより、自信を取り戻し、社会活動への参加が促進され、全体的な生活の質が向上する可能性があります。
- 科学的根拠研究データによると、「歯がほとんどなく義歯を未使用の人」と比較して、「歯が20本以上ある人」は認知症発症のリスクが1.85倍も低いことが示されています。これは、インプラントなどによる咀嚼機能の回復が認知症予防に寄与する可能性を示唆しています。
つまり、インプラントは費用に見合う十分な価値がある治療と考えられます。
保険診療可能な医療機関の基準
保険適用でのインプラント治療には、厚生労働省が定める以下の基準を満たす医療機関での実施が必要です。
- 医療機器・医薬品の管理体制が整備されている
- 当直医による24時間体制が確立されていること
- 歯科または歯科口腔外科を標題する医療機関であること
- 歯科診療5年以上・インプラント治療3年以上の経験を持つ常勤歯科医が2名以上在籍していること
- 20床以上の入院設備を備えていること
上記施設基準を満たす医療機関は限られており、保険診療でのインプラント治療を受けるハードルは非常に高い状況です。
インプラント治療にかかる
費用の目安
インプラント1本あたりの治療費は、医療機関によって約30万円~100万円の範囲と大きく異なります。自由診療という特性上、各歯科医院が独自に診療費を設定できる仕組みとなっているため費用相場の幅は広くなっています。
インプラント治療の歴史は比較的新しく、歯科医師の経験や技術レベルの差より、価格帯に幅が生じています。
価格が安いからという理由で治療する医院を選択してしまうと、医院選びに失敗する可能性もあるため慎重な判断が求められます。
料金表示に関する注意点
標準的な治療費にはインプラント本体埋入手術費用と人工歯冠の料金が含まれていますが、格安を強調した宣伝をしている医院ではインプラント本体の埋入費用のみを表示しているケースがあります。
また、麻酔する方法により追加料金が発生する場合もあります。
料金体系を詳しく確認せずに治療を始めると、予想以上の費用がかかる可能性があるため、治療開始前に以下の項目について医院側に確認することをお勧めします。
各治療法の特徴と選択のポイント
保険診療で受けられるブリッジや入れ歯は、インプラントと比較すると咀嚼機能や周辺歯への影響に大きな差があります。
各治療法の特徴
※横スクロールでご覧いただけます。
治療法 |
特徴 |
メリット |
デメリット |
費用目安 |
ブリッジ |
お互い隣の歯を支えとして橋渡し |
保険適用の可能性 |
健康な歯を削る必要あり |
保険:2~3万円 自費:20~50万円 |
入れ歯 |
着脱可能な人工歯 |
保険適用の可能性 |
咀嚼力が弱くなる、違和感が残る |
保険:部分的に適用 15~100万円 |
インプラント |
人工歯根を埋め込む |
保険適用の可能性 |
高額な治療費 |
30~100万円/本 |
ブリッジ治療の課題
ブリッジはお互いの隣の健康な歯を支えとして使用するため、周囲の歯を大きく減らす必要があるという特徴があります。また、以下のようなデメリットも存在します。
- 健康な歯の神経を除去する可能性
- 虫歯や歯周病のリスク増加
- 審美性を重視すると自費診療になる場合あり
入れ歯治療の特徴
入れ歯は切り離し式の人工歯で、部分的に保険適用が可能です。また、以下のようなデメリットもあります。
- 周囲の歯を削る必要がある場合あり
- 咀嚼する力が低下する
- 装着時の違和感がある
- 清掃が難しいことが多い
インプラント治療の優位性
ブリッジや入れ歯は、治療過程で健康な歯を確保し、寿命を縮め抜歯になる可能性があります。審美性を重視すると結果的に自費診療となり、高額な費用が発生するケースも少なくありません。
天然歯に近い咀嚼機能の回復と周囲歯への影響がないというインプラント、初期費用は高額でも長期的な満足度を重視して選択する方が増えています。
京都エリアの
インプラント治療費用相場
京都における1本あたりのインプラント治療費は、平均的に35万円~50万円の範囲のケースが多いと思われます。治療費は変動する可能性があり、治療開始前に医師から詳細な費用説明を受けることが重要です。
医院による治療費の価格差について
インプラント治療は自由診療のため、各歯科医院が独自の価格設定を行うことができます。そのため、以下の点に注意が必要です。
- 低価格を重視しすぎると治療の質が低下する可能性
- インプラント材料の選択肢が限定される場合がある
- 手術方法の選択が制限されることがある
- 術後のケアや保証内容に差が出る場合がある
価格の安さだけを基準に医院を選択すると、最適な治療を受けられない可能性があります。
結果として、早期に埋入したインプラントが脱落するなど治療後の満足度が低くなってしまうケースも報告されています。
医院選びのポイントとして、以下の項目を確認することをお勧めします。
- 使用するインプラント材料の種類と特徴
- 採用している手術方法の詳細
- アフターケアの内容
- 治療費に含まれるサービスの範囲
- 保証認定の有無と内容
費用対効果を考慮しながら、長期的な視点で医院を選択することが重要です。
インプラント治療の詳細費用内訳
インプラント治療には様々な費用が含まれています。適切な治療を提供するために必要な設備投資や材料費など総合的に考慮されます。
※横スクロールでご覧いただけます。
料金項目 |
金額目安 |
内容説明 |
人工歯冠材料費 |
10~15万円 |
インプラントの上部に装着する被せの費用 |
手術料金 |
10~40万円 |
インプラント埋入手術の施術費用 |
検査・診断費 |
2-5万円 |
レントゲンやCT撮影、治療計画にかかった費用 |
メンテナンス費 |
5千-1万円 |
定期的なケアと経過観察の費用 |
以下の項目が治療費に含まれるのが一般的です。
- 専門的な手術設備の使用料
- 高度な診断機器の利用料
- 術後の保証対応費用
- 継続的なメンテナンスサービス
価格設定に関する重要な注意点
インプラントの材料費だけでも10万円が必要となることもあるため、1本10万円や20万円という治療価格の設定は不自然に安すぎる価格と言えます。
安い価格設定には以下の可能性が考えられます。
- 品質に劣る材料の使用
- 必要な検査の省略
- アフターケアの不足
- Dr技術の不足
正しい治療の提供には一定の費用が必要です。高ければ良いというわけではありませんが、信じられないほどの低価格をアピールする医院は治療の質や安全性に問題がある可能性を考慮する必要があります。
まとめ
インプラント治療は、虫歯や歯周病による歯の喪失のために行われる高度な歯科治療です。
ブリッジや入れ歯と比較すると価格は高価になりますが、天然歯に近い美しさと噛む力が得られ、周囲の歯への悪影響も少ないというメリットがあります。
日々、様々な患者様にお会いしてインプラント以外の治療法を選択されているのを目にしていますと、「この患者さんはインプラントすれば他の歯の寿命もはるかに伸びるのに」「この患者さんにもっと強くインプラントをおすすめしていればこの歯を残すこととができたのに」など、誤解を恐れずに言えば「インプラントをすればもっと健康寿命が伸びる可能性が高まるのに」など思うことが本当に多いです。
治療費には材料費、手術代、検査費用など様々な項目が含まれているため、正しい価格設定かどうかを十分に確認することが大切です。
長期的な満足度を重視して、信頼できる医院での治療をお勧めします。
患者様の将来が笑顔になれる治療をお約束致します。
まずは些細なお悩みでも大丈夫ですので、
お気軽にご相談下さい。